
「五島 優」―。戦争と平和。このテーマが多く使われた作品は儚さやせつなさが心に響き、イラストを通じて作者の強い思いが伝わってくる―。
この企画は、アットクリエイターズがキラリと光る作品を独断と偏見でピックアップ、素晴らしい作品を生み出すクリエイターをご紹介します。
「Pickup Creators」第六十三回目は「五島 優」。彼の等身大に迫ります!
― 五島 優さん、こんにちは。今回はお忙しいところお時間をご用意いただき本当にありがとうございます。今日は五島 優さんご自身について、いろいろ教えて頂きますので、よろしくお願いします!
(五島 優)よろしくおねがいします!
―Q. まず始めに現在はどのような活動をされておられますか?
自主制作をしながらお仕事もさせていただいています。最近、絵を通じて子どもたちの貧困改善に取り組むプロジェクトに参加させていただく機会があり、社会問題に対して作品が何らかの力を持ち得ないかも模索中です。この春から本格的に活動をはじめたばかりなので、今から展示や公募など、少しずつ力を入れていきたいと思っています。
―Q. 五島 優さんが制作される作品の得意分野を教えて下さい!
テーマ性やメッセージ性のあるものでしょうか。マチエールの質感や手描きのタッチ、ストーリー性などと合わせて、画面の中だけで終わらない「現実への広がり」を持てればと思ってます。
―Q. 休日の過ごし方やイラストを描かれる以外で趣味があれば教えて下さい。
普段はイラストと関係ない仕事をしているので、休日の過ごし方が制作のような…(笑)でも時間がある時は、よく映画やファインアートの展覧会を見たりします。あと、海外のCMを探して見るのが好きです。
―Q. 作品のアイデアはどのような時に生まれますか?
全く制作について考えてないとき、日常生活をしている最中ほど、ぱっと閃きます。ただ、日頃から人間観察したり、戦争や平和について考えたり、現代人の戦争観や価値観を調べたりはしてます。これは制作のため、というよりほとんど趣味です。笑
―Q. 現在の作風に行きついた経緯を教えて下さい。
技術的なことについては、高校時代に油絵を描いていた影響が一番大きいです。大学に入って制作から一度離れたんですが、「アートを学問する」というちょっと変わった専攻だったので、そこで美学・美術史、マネージメント、様々な表現や論文などを勉強することで、かえってコンセプトなど作品の在り方について深く考えるようになれたと思います。
―Q. 作品のコンセプトを教えて下さい。
「テーマや想いを伝える」こと。そして、単に伝えるだけではなく、それについて自発的に「考えてもらえる」こと。最終的には、見てくれた人が実生活や行動を変える「きっかけ」になれればいいなと思ってます。
―Q. ご自分から見られて、作品の魅力または、ここに注目してほしいという部分はどのあたりでしょうか?
「戦争」や「孤独」や「死」といった中にも、悲惨さや絶望だけでなく、人の優しさや温もり、未来への可能性、そして「生きる希望」や「しあわせ」を見出してもらえると嬉しいです。
―Q. ご自分の作品に影響を与えている見本となっている作品や人などおられますか?
たくさんいらっしゃいますが、お一人だけあげるとすれば漫画家の田村由美さんです。作風も表現もジャンルもまったく違うにも関わらず、人の生き様とか価値観とかいろいろ、本当に言葉にできないほど影響を受けました。たぶん、この方の作品と出会っていなければ、今の自分はないと思います。
―Q. 作品を制作する時に一番気をつけている部分はどのあたりですか?
作品のテーマが「非現実的」であったり、「無意味」なものにならないこと。あとは、自分が納得できるかどうか、です。
―Q. 今まで使用してきた制作道具の中でおすすめの画材やソフトがあれば教えて下さい。
「Museのキャンバスペーパー」つい半年前まで板に紙を水張りしていたのですが、これが準備も片付けも地味にめんどう!かといってキャンバスは嵩張るしサイズ調整が難しい!そんな時これに出会って感動しました。
―Q. 今まで活動してきてイラストを描いてきてよかった!と思った出来事を教えて下さい。
四月に初めての展覧会をやったのですが、その時にいただいたご感想が、「これからも制作していこう」と決心する大きなきっかけになりました。場所が観光施設だったため、一緒にやった作家さんやネット上のお知り合いの方だけでなく、普段イラストに興味のない人たちの言葉、特にこれからを生きる小・中・高校生たちの素直な言葉に、今でも励まされます。戦争や平和について日常生活で話す機会はなかなかありませんが、ネットをはじめとしたグローバル化によって「世界における日本」という認識を強く持っている若い世代は、大人が想像するよりはるかにこの問題に強い興味と関心を持っています。そのことに気付けたこと、そういった話をするきっかけを自分の作品が作れたことが、本当に嬉しかったです。
―Q. 今まで活動してきてお仕事や制作作業などでの失敗談があれば教えて下さい。
4年ほど前にはじめて同人のお仕事をお受けしたとき、当初の締め切りを守れなかったことと、カラー設定を間違えてしまったことがずっと心に残ってます…。作品のクオリティ以前の問題なので、それ以来この二つには特に気をつけるようになりました。
―Q. これからやってみたいお仕事や挑戦したいジャンルはありますか?
イラストや絵本といった日常と身近な作品が、社会問題に対して実効力を持ち、かつビジネスとして成立するような可能性を模索していきたいです。個人的なテーマである「戦争や平和」といった問題だけでなく、例えば「環境問題」や「貧困問題」など、様々な分野に取り組む作家さんと協力して、日本人的な感性を大切にしながらできればいいなぁと思っています。
―Q. それでは最後に今後の抱負、目標、こういったことにチャレンジしたい!などお聞かせ下さい。
これは「戦争」を題材にした自主制作に限ってのことですが、実際に「体験していない」のに描いていいのか、という悩みと葛藤をずっと持っています。偽善ではないか、傲慢ではないか、食い物にしているだけでは。それについて「海外に行け」「行かなければ分からない」とアドバイスをいただいたこともあり、自分も将来的には行きたいと思っています。ですが、今の日本人に戦争を体験したことのある人なんてほとんどいないですよね。このグローバル化社会の中で、既に「体験している人」から映像や写真や音声、体験談やニュースは日々発信されています。歴史的な資料や画像、あるいは映画や絵本やマンガや小説もあります。体験しなければ分からないのなら、これれは全て無意味ということになってしまいます。自分は現地で様々な活動している人たちのためにも、今を日本で生きている平凡な日本人として、どこまで戦争について考えられるか、どこまでその本質に迫れるか、なにより、日本でなにができるのか、試してみたいと思っています。なんだか偉そうで本当に恐縮なのですが、これは善意とか良心とかじゃなくて、単に自分自身が人生をしあわせに生きるために、です。自分の制作は、そういった意味で全て好きでやってることなので、これからもとことん自己満足を追求していきたいです。
―ありがとうございました〜。
平和をテーマにしたあたたかい作品をこれからも期待しています!
五島 優さんからのプレゼントです。
こちらから「五島 優オリジナル壁紙」をダウンロードできます。
サイズは、1050×1680px と1024×1280pixel、768×1024pixelの3種類です。

五島 優
アナログイラスト
憎悪とか、恐怖とか、悲劇とか。私たちはもう、嫌になるほど見てきた。だからもういい。しあわせの話をしよう。もう一度、しあわせになろう―。
■SAKURA Exhibition NY Competition at AG Gallery
□日時:2009年7月31日(金)〜8月27日(火)□会場:AG Gallery 107-A North 3rd St., Brooklyn, NY11211
http://www.sakura-ex.info/
アメリカNYで行われる日本人作家によるイラスト展覧会。本人行けなくて残念なのですが、とても素晴らしい展示内容なので、チャンスがあれば是非!
■アルファポリス 絵本・童話大賞
□日時:2009年8月1日(土)〜31日(月)
http://www.alphapolis.co.jp/
ネット上で作品を公開し、一般ユーザーによる投票・審査が行われるWEBコンテンツ大賞。今回新たに絵本を描きおろして応募します。日時もちょうどすぐ(8月1日各個人サイトで公開)なので、よかったら見ていただけると嬉しいです◎
■7TY ANALOG ARTS GALLERY
□日時:2009年9月19日(土)〜23日(水)□場所:アートフォーラムOne's 東京都目黒区自由が丘1-29-17 自由が丘 夢の樹HILLS 5F
http://www.ki.nu/~mariko/analog/7th/gallery/
アナログ絵描きのコミュニティ「アナログ画板」さんの7周年記念原画展。原画の展示だけでなく、はじめてポストカードなどの販売もさせていただきます…!


【 仕事机(上)と絵具(下) 】
アクリル絵具を主力に、たまにクレヨン、水彩、和紙のコラージュなんかも。まだまだ試行錯誤中。マチエールには気を使うので、モデルングペーストなどのメディウムはいろいろあります。ちなみに絵具はどうしても散らかしちゃうので引き出しに。これでスッキリ!

【ラジオドラマ】
主にNHKのFMシアター。気に入ったものをMP3化して繰り返し聞いています。音だけでしか表現できない世界観や構成、声だけで人の動きや感情を表現できるのに感動…。想像力が膨らんで大好きです。が、あまりにマイナーすぎて同志がいません。笑
■おすすめの1冊
『しあわせ』
戸田誠二
この世界には、“なにか”を抱えて生きてる人がたくさんいる、ということを教えてくれました。暖かくて切ない、言葉にできない感覚。孤独を感じたとき、生きることに疲れたとき、そっと読んでみてください。『生きるススメ』など、戸田誠二さんのマンガはどれもオススメです。
■おすすめの1本
『ロード・オブ・ウォー』
戦争をテーマにした名作映画は山ほどあって本当に悩みますが、あえて人に薦めるならこれでしょうか。実話を元にした武器ビジネスと“死の商人”の生き様には目から鱗。戦争について考える時、「ひどい!」「絶対ダメ!」とか声高に叫ぶんじゃなくて、こういう仕事をしてる人の目線から見るのも大事だと思うのです。エンターテイメントとしても面白いですよ。
■おすすめの1枚
『安藤裕子 The Best '03-'09』
安藤裕子
特定のアーティストを好きになることはあまりないのですが、なぜか惹かれたのが安藤裕子という人の音楽。月桂冠のお酒「月」のCMでかかっていた「のうぜんかつら」で出会いました、と言えば少しは伝わるでしょうか。救われる気がします。
※画像をクリックすると拡大画像が表示されます。
【1】構想
いつもと違って今回は場面ではなく言葉(テーマ)が先に浮かんだので、それを表現するためのイメージを出すことからはじめました。画像は没になった最初期ラフの一つ。プレゼントの壁紙用に、ということで画面の縦横比率や表現方法もそれに沿う用に工夫します。完成状態までイメージを持って行けるラフが出るまで、ひたすら構想を練るこの段階が一番悩みどころです。
【2】下書き
ラフが完成したら、キャンバスペーパーに下地を作ります。その上に裏面を黒塗りした下書きを重ね、上からなぞって転写します。下地はモデリングペーストを基本に、いろいろなメディウムを合成して作ります。
【3】おつゆ塗り
茶系の透明色で大体の明暗をつけていきます。削ったり盛り上げたり画面に凹凸をつけながら、全体の雰囲気作りも。ちなみに「おつゆ塗り」という名前は、油絵をやっていたとき恩師に教わったのですが、その後一度も聞きません…。そんな名称があるのか未だに謎です。
【4】描き込み
不透明色も使ってひたすら描き込み。中盤以降は、彩度を上げるためにつや消しメディウムを混ぜ、ヤスリなどを使ってひっかき傷も作ります。全体のバランスを見ながら、形の修正や色の変更などを行うことも。今回は、右手親指の形が結構変わってるのが分かると思います。
【5】仕上げ
細部まで描き込み、文字と花をクレヨンで描いて終わり…のはずが、イメージとあわなかったので、花だけは絵具で描き込みました。最後のクレヨンはやり直しがほとんどきかないため、失敗したら終わり。全神経を集中して描き上げます。